ルネサンス期のヘルメス思想を研究。タロットの図像学的分析が専門。
宵月 紗耶の記事 (14)
タロット起源のエジプト説|ジプシー伝説の誤解史
タロットとは、15世紀の北イタリア・ミラノで生まれた貴族向けの遊戯カードであり、現存最古の例は1440年代のヴィスコンティ・スフォルツァ版にたどれます。入門書で目にする「古代エジプトの叡智」という説明に、どこか腑に落ちない違和感を覚えたなら、その感覚は正しいでしょう。
愚者の旅とは?大アルカナ22枚が描く魂の成長物語
愚者の旅とは、大アルカナ22枚を0番の愚者から21番の世界まで一続きに読む、タロットの代表的な解釈である。1890年代の黄金の夜明け団が整えた対応関係と、20世紀半ばにエデン・グレイが定式化した呼び名によって、この読み方は現在の形に落ち着いた。
ルーン文字とは|オーディン神話とフサルク2000年史
ルーン文字とは、1世紀頃に初期の銘文が現れ、以後およそ2000年にわたってゲルマン諸語を記した文字体系である。ゲームや映画で魔法の記号として見慣れた印象とは違い、博物館で石碑や木片の実物に向き合うと、そこには誰かが誰かへ宛てて刻んだ言葉が残っていることに気づかされます。
ソロモン72柱の悪魔一覧|序列・階級・軍団数
ソロモン72柱の悪魔は、17世紀半ばに編纂された『レメゲトン』第1書『ゴエティア』に並ぶ魔神名簿である。『ゴエティア』はギリシャ語 goeteia に由来し、同じ『レメゲトン』第2書の『テウルギア・ゲーティア』と対になる低位の術を指す。
数秘術の歴史|ピタゴラス『万物は数なり』の系譜
数秘術は、前6世紀のピタゴラスに起源を帰されてきた思想である。だがピタゴラス本人の著作は一行も現存せず、数と音楽の理論を記した最古の断片も約1世紀後のピロラオスに残るだけで、まず確認すべきなのは「2500年の歴史」がいったい何を数えているのかだ。
占いの種類|タロット・ルーン・数秘術の起源と違い
タロット、ルーン、数秘術は、どれも古代から続く神秘の技法のように並べて語られますが、実際には成り立ちも答え方もまったく違います。数秘術は生年月日という変わらない数字から読む命術で、タロットとルーンは偶然に出た結果を手がかりにする卜術です。
12星座の守護星(支配星)一覧と対応天体の由来
守護星とは、西洋占星術で12星座それぞれを司る天体のことで、ルーラーや支配星、古典占星術でいうドミサイルとほぼ同じ概念である。占いアプリやSNSで「あなたの守護星は火星です」と見かけても、その対応がなぜそうなるのかまで知る機会は少なく、蠍座の守護星を調べたら冥王星と火星が並んでいて戸惑った人も多いはずです。
サビアンシンボルとは|360度に詩を宿す占星術の起源
サビアンシンボルとは、黄道360度の各1度に一つずつ与えられた象徴的イメージで、牡羊座1度から魚座30度までを覆う度数の占星術である。通常の12星座占いが30度幅の星座単位で人を語るのに対し、こちらは1度単位で心象を読むため、象徴の粒度がきわめて細かい。
西洋手相術の歴史|四元素と手に宿る星
西洋手相術とは、手のひらを宇宙の縮図として読む、占星術と四元素論を母体にした対応の思想である。ルネサンス期の手相写本を図像として眺めると、そこには惑星記号と元素の象徴が一枚の星図のように配置され、占いというより知の体系としての輪郭がはっきり見えてくる。
タロット『死神』の意味と由来|数字13と再生の象徴
タロット大アルカナ第13番『死神』は、骸骨と大鎌で知られる一枚ですが、歴史・図像・実務のどこを見ても物理的な死そのものを示すカードではありません。マルセイユ版とウェイト版を並べると、恐怖の図像の中に昇る太陽や芽吹く手足が隠されており、そこには「終わり」と同時に「再生」を告げる設計がはっきり見えてきます。
ルシファーとサタンの違い|明けの明星が悪魔になるまで
ルシファーとサタンは、現代ではしばしば同じ悪魔として語られますが、もともとは出自の異なる語です。ルシファーはラテン語の lucifer に由来する「明けの明星」の名で、サタンはヘブライ語で「敵対者・告発者」を意味する役職名でした。
水晶玉占いの歴史 古代ギリシャから続くスクライング
水晶玉占いは、占い師がガラス玉を覗き込む図像で知られますが、実際には水・鏡・黒曜石のような反射面を使って幻視を引き出すスクライングの一支流です。紀元前2000年頃のメソポタミアにまで遡る水盤占いから、古代ギリシャで katoptron に由来するカトプトロマンシーとして体系化された流れをたどると、
グリモワールとは|ソロモンの鍵とゲーティアの正体
レメゲトンとは、17世紀半ばに古い素材を寄せ集めて編まれた五部構成のグリモワールであり、その第1部アルス・ゴエティア(Ars Goetia, 悪霊術)が72柱の悪魔を載せている文書です。
ケイバリオンの七大原理を一気に理解する
『ケイバリオン(The Kybalion)』は、1908年に「三人のイニシエート」名義で出版された、七大原理を骨格にしたヘルメス思想入門の書物です。精神性、対応、振動、極性、リズム、原因と結果、性という7つを先に並べることで、名前だけ知って意味が散っていた輪郭をまず地図のように示せるでしょう。