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ケプラーと占星術|信じた部分と退けた部分
ヨハネス・ケプラー(1571-1630)を「天文学者」だけで捉えると、この人物の切実な格闘は見えてきません。ヴァイル・デア・シュタットに生まれ、テュービンゲン大学でコペルニクス説に傾いた彼は、占星術を無批判に受け入れたのではなく、幾何学・調和・物理的作用という限られた原理へと組み替えながら、
インド占星術の基礎|歴史と体系を整理
西洋占星術では牡羊座に入る生まれでも、ジョーティシュで計算すると魚座になることがあります。ここで見えてくるのが、黄道を恒星基準でとらえるサイデリアル方式と、約23〜24度のアヤナムシャという、インド占星術の発想の違いです。
中国占星術と干支|暦法・五行の全体像
干支という言葉を聞くと、つい「今年はへび年」のような動物イメージだけで捉えがちですが、実際の骨格は十干と十二支が組み合わさる六十干支にあります。中国占星術を読み解く入口もここにあり、年のラベルとしての干支、年・月・日・時の四柱で組む四柱推命、12宮と主星群で命盤を立てる紫微斗数、
ヘルメス思想入門|起源・文献・錬金術との関係
1460年頃、東ローマ由来のギリシア語写本がフィレンツェに入ったとされ、コジモ・デ・メディチの後援のもとマルシリオ・フィチーノがヘルメス文書のラテン訳に取り組んだと伝えられます(写本到来の具体的経路や、フィチーノが当時のプラトン訳を文字どおり中断したかどうかといった細部は一次史料で確定しにくく、
エメラルド・タブレット|起源・本文の意味・受容史
実物の緑玉の石板がどこかに残っているわけではありません。いま読めるエメラルド・タブレットは、8〜10世紀のアラビア語文献、とくにKitāb Sirr al-Khalīqa wa-Ṣanʿat al-Ṭabīʿaにたどれる短いテキスト伝承として受け取るのが出発点です。
カバラとは?ユダヤ神秘主義の歴史と核心
タロット入門書の生命の樹 対応表からカバラに入ると、同じ図を見ているはずなのに、ユダヤ文献で語られる内容が思ったより違っていて戸惑うはずです。この記事は、その混乱をほどきたい初学者に向けて、カバラを占い・数秘術の総称ではなく、ヘブライ語のqabbalah、
黄金の夜明け団とは|起源・構造・影響
一般には1888年にロンドンで創設されたとされていますが、創設の細部(創設誓約日など)は出典によって異なります。誓約日を1888年2月12日とする資料もある一方で、出典の取り扱いによって表記が分かれるため、
薔薇十字会とは?三大宣言書と思想背景
薔薇十字会は、しばしば「十五世紀から続く秘密結社」として語られますが、研究の視点では、1614年から1616年にかけてドイツ語圏で出現した匿名宣言書群が生んだ思想運動、いわば文書事件として理解するほうが実態に近いと考えられます。
アレイスター・クロウリー|近代オカルティズムの再編者
Liber AL vel Legisの公開テキストをOTO USGL(参照: https://www.oto-usa.org/)版とThelema.org(https://www.thelema.org/)版で突き合わせ、あの有名句を原文の前後まで追ってみると、
新プラトン主義と魔術|フィチーノとルネサンス
十五世紀フィレンツェで新プラトン主義がなぜ魔術と結びついたのかをたどると、後三世紀のプロティノスに始まる一者・流出・帰還の哲学が、翻訳と注解を通じて近代初期の知の配置そのものを書き換えていく過程が見えてきます。
ニュートンと錬金術|近代科学の父が追った秘密
1669年にルーカス数学教授、1687年にプリンキピア、1696年からは造幣局、1703年から1727年までは王立協会会長――この年表を並べると、アイザック・ニュートンは理知そのものを体現する人物に見えます。
ロバート・ボイル|錬金術師から近代化学の父へ
ロバート・ボイル(1627年1月25日、アイルランドのリズモア生―1691年12月31日、ロンドン没)は、錬金術を実践しながら、粒子哲学(corpuscular philosophy、